たんぽぽの綿毛の行き着く先は誰も知らない

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「承知した……」  神と名乗る女が、そう呟くと俺は白い光に包まれた。  あまりにも真っ白で眩しくて目を閉じる。  どれくらい経過しただろうか。 「目を開けろ」  女にそう言われ、目を開けてみると、俺は人間になっていた。  背が高くなったのかその女がかなり小さく見える。  人形の時は服なんて着てなかったのに、ジーパンにTシャツを着ている。 「服はサービスだ。 裸でうろうろできんからな。 お前、ミクの家は分かるのか?」  神様、ありがとうな。  家なんて分かる……いや、分かんねぇわ。  俺はミクの部屋からあまり出た事がない。  外なんて以っての外。  そんな俺に分かる訳がない。 「どうってことない。 ミクの部屋まで送ってやろう。 ……というか、お前もう喋れるだろう?」  神に言われるまで気づかなかった。  当たり前の事だが、人間になったからには口がある。 「あ……本当だ。 ありがとう神様」 「んじゃあ、行くぞ」  神様がそう言うと、また俺は白い光に包まれて目を閉じる。  しばらくして目を開けるとそこは見慣れたミクの部屋だった。
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