たんぽぽの綿毛の行き着く先は誰も知らない

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 時刻は16時頃。  もうすぐあの子が帰ってくる。  俺は、狭いが日当たりの良い部屋で、のんびりとお昼寝してる。  俺の安眠を邪魔するかのように、思い切り玄関を開く音がすると、バタバタと大きな足音が聞こえる。  今にもドアが壊れそうな勢いで入ってきた女の子。  それが俺の主だ。 「ただいまーライ! 今日ねーカナトくんと目があったんだよっ3回も! もう、まじ運命?みたいな!キャーッ」  ライとは俺の名前。  ライオンのぬいぐるみだからライ。  なんとも安易な名前だ。  はたから見るとぬいぐるみに話し掛けてる痛い女、川島ミク。  家ではテンション高いが、友達が俺しかいないってゆう、可哀相なやつ。  なんでも凄い人見知りらしい。  こいつは毎日、毎日、毎日、カナトってやつの話をする。  どうやら好きらしい。  ぬいぐるみの俺に言われても仕方ないんだが、まあ暇つぶしがてら聞いてやってる。
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