たんぽぽの綿毛の行き着く先は誰も知らない

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 ミク、本当うぜぇんだって。  だってさ。  ミクは毎日寝るときは俺を抱いて寝る。  夏は暑いけど、抜け出したくても抜け出せない。  俺を風呂に入れる時だってある。  風呂は嫌いだって叫んでも、ミクには届かない。  俺を乾かす時なんて、鬣を洗濯ばさみで挟みやがる。  ドライヤーで丁寧に乾かしてほしいものだ。  ミクは俺の目の前で”シュークリーム”というものを食べる時だってある。  俺にも少しわけてくれたっていいじゃないか。  ミクは時々、カナトを想って泣く事がある。  俺が”人間”なら、抱きしめてやるのに。  俺が人間なら。  そっか、俺が人間なら、抱きしめられても抜けられるし、お風呂だって入らなくてもいいし、鬣を洗濯ばさみで挟まれる事もないし、シュークリームだって食べれるし、なにより。  泣いてるミクを抱きしめてやれる……。  俺、人間になりてぇよ。  神様、いるんなら俺を人間にしろよ。
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