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『君たちも懲りないねぇ~』
『社長が言ったんですよ?勝てたらボーナスをやるって!』
ジェイクは、Kingdomを始めた頃、あまり大会もなく参加してもすぐに勝ってしまう。
そんな事では、エレナたちの体が鈍ってしまう。
それを防ぐためジェイクはあることを発表した。
社内でフリーKingdomを許可し、自分に勝てた者には賞金-ボーナス-を出すと。
それから毎日入れ替わりたち代わりで勝負を挑まれた。
もちろん休憩中や終業、朝だけで、仕事中は皆しっかり働いている。
『そうだったな。じゃ始めようか。武器は?』
『サクラが剣。クラリスが刀。ライラは虎爪よ』
『こっちは・・・そうだなぁ~エレナは鞭。レイナは槍。カルナは・・・』
『・・・・拳で十分』
ナディアとジェイクがそう言うと腕にはめられた腕輪が光を放ち駐車場だったはずの場所とは違う場所に変わる。
そこには灰色の長方形で構成されたリング。
リングの4隅には白い円柱が置かれていた。
リングの広さは、サッカーコートより少し小さめだった。
リングの周りには山や小川がある。
しかし、動物の気配はない。
空があっても鳥はいない。
花があっても蝶などの虫はいない。
触れることは出来るが、花の匂いや感触がない。
小川に手を浸けても、濡れない。
触っているのに触っていないような不思議な感覚に陥る。
ここは仮想空間。
現実とは切り離された空間。
この空間にいるのは、ジェイクたちとナディアたちだけ。
互いに武器を宣言することがKingdom始まりの合図。
その合図に腕輪が反応し仮想空間へと送られる。
送られてしばらくすると、リングの中央に、マスクをつけた人物が現れる。
彼は、この試合の見届け人。
ルールを破る者を断罪する者。
見届け人は、ディオル社の社員が行っている。
ディオル社がどういう目的でKingdomを始めたのかはわからない。
しかし、ゲーム感覚で戦闘が出来ると参加者は年々増えていた。
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