ROCK YOU

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15時5分前になんとか間に合って駅に着くと、東原先生(通称ヒガシと呼ばれている)は、時計を見ながら待っていた。 「よぉ。 わりぃな」 一応、すまなそうには言うけど、なんか企んでいる気がして仕方ない。 「ちょっとヒガシ! 休みのあたしに、いきなり電話してきてなんなの?」 「いやぁ、それがさぁ。 大学の先輩に、無理矢理頼まれちゃってさぁ。 亜希ちゃんしか頼る人が、いなかった訳よ」 「で、 救護班て? マラソンかなんか?」 「いや、 あの…」 何だかハッキリしないなぁ。 「いや、 コンサートなんだけどな…」 「あぁ、 コンサートね。 じゃあ大丈夫だよ。 あたし、去年も大山先生に頼まれてやったことあるもん。 野外のジャズフェス」 「いや…。 それが、今回は… アイドルなんだよ…」 「………………」 とたんに嫌な予感…。 「アイ… ドル… って…」 「ほら。 今すげぇ人気の… SHERA? だっけ!? まぁ、救護班て言っても多分あまり仕事無いと思うけどな」 「……………………」 その時点で、あたしぶっ倒れそうになる。 実は、職場のみんなには内緒だけど、2年前ぐらいから先輩の影響で、SHERAにハマっちゃって、ライブには欠かさず行ってたの。 今回は、どうしてもチケットが取れなかったから、家でふて寝してたけど…。まさかの出来事に、しばし呆然…。
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