時雨

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暑い。 今は八月上旬。夏真っ只中だから暑いのは当然だ。 しかし、早朝にここまで暑くなったことはない。 俺は閉じていた目をうっすらと開け、胸の中を見た。 ―――暑い原因が分かった。 俺の胸の中には今年の春、結婚したばかりの妻、彩夏が眠っていた。 こいつは暑くないんだろうか―――? そんなことを考えたが、そんなこといくら考えても涼しくはならない。 俺は彩夏が起きないよう、そっと腕をほどき、体を起こした。 障子越しに光が差し込んできている。 時計に目を遣ると、まだ六時だった。 まだ起きるにはいつもより早い時間だが、目が覚めてしまったのでそのまま起きることにした。
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