時雨

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「……暑いって……」 そう言うと、彩夏はきょとんとした顔をした後、泣き出しそうになった。 「彩夏のこと嫌いなの?」 何故、そういう解釈をするのかは分からない。 ただ、分かるのは、余計なことは言わない方がいいということだ。 「そんなこと言ってないって。ただ、暑いだけ」 「彩夏のこと暑苦しいって思ってるんだ……!」 さらに泣き出しそうになってしまった。 「そうじゃないよ。ただ単に夏で暑いな、ってだけ」 「本当に?本当にそう?」 「うん」 本当は抱きつかれるのが暑苦しいのだが。 「彩夏のこと、好き?」 「うん。好きだよ」 彩夏は腕に一層、力を込めて抱きついてきた。 「愛してる?」 今度は顔が近づいてきた。 「愛してるよ」 そう、答えた瞬間、口づけられた。 「私も愛してるよ」 また抱きついてきた。 今日はより一層、暑くなりそうだ。
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