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穏やかな昼下がり。多少暑さの増してきた陽射しの中、村人がのんびりとした時間を過ごしている。
すれ違い様の挨拶、気分次第で始まる村人それぞれの一日。
アカデミーでの時間で割られた生活とは対照的な空気が、ユーゴとフィルの2人を和ませた。
「はぁ~、ここがファーラストの村か……」
「なんかぁ、すごいゆた~っとしてるねぇ……」
村の入口で3人がぽーっと中を眺めていると、村の中、入口近くの切り株に座っていた老人が声を掛けて来た。
「お主ら、どちらさんかの?」
「あ、こんにちはぁ。私達、アカデミーから依頼を受けて旅をしてまして……」
「依頼……?おお、あの話か!ちょっと待っとれ、村長を呼んで来たるでの!」
「あ、いえこの村の依頼……じゃ……」
言い切るより前に、老人はすたすたと歩いて行ってしまった。
「行っちまったな。結構な足早で……」
「勘違い、かも……」
追い掛けようにも、勝手に入ってはいけないのではないか、という気がした3人は、結局老人の帰りを待つ事にした。
しばらくして、老人が帰って来る。
「あの、実はわた……」
「待たせたの!村長から直々に話をするもんで、案内するわ。着いてこやぁよ!」
「いや、あの……」
「えぇてえぇて!なんもない村だで、大したおもてなしも出来んけども、気兼ねせんでえぇで!」
全く、話を聞いていない様子の老人。2人はこの老人を説得するのを諦め、村長に説明をする事にした。
老人の後を着いて、村の中を歩く。途中で村人から色々と話し掛けられる。
「あらミノじいさん、どちらさんかね?」
「おお、例の件で来てくだすった人達だわ」
「あれかね!まぁー、半分諦めとったで嬉しいねぇ!」
「なぁ!若いのに大したもんだわ」
「な、なんか独特の話し方だね……」
「おお……意味は解るんだけどな……なんとも表現しにくいな」
一風変わった村の人達の口調に戸惑いながらも、3人は着いていく。
農家が大半を占める村ではあちらこちらにその生活の一端が見て取れる。使い込まれた農具、泥に塗れたキャリー。軒先に野菜が吊されている家も見かけられた。
しばらく歩くと、それらよりも少し大きな家に辿り着いた。村長の家だ。ミノと呼ばれた老人に促され、3人はノックも無しに入る事に若干の抵抗を感じながらも中に入った。
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