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「お~い村長!おるかね~?」
入るなり、大声で呼び掛ける。家中に響いた声に応えたのは、ぱたぱたという足音だった。
その足音を連れてやってきたのは、割烹着を着た女性。お手伝いさんだろうか。およそ還暦を迎えるあたりに見受けられる。
「あらミノじいさん、どうし……」
言いかけて3人に気付き、はぁ、と溜息をつく女性。
「また連れて来たのかい?もう止める、って前に言ってたのに……」
「なに、まだ依頼が生きとったみたいだでな。わざわざ来られたんだで、追い返すのも悪いやろ?」
「それはそうかもしれませんけど、また危険な目に遭わせるつもりじゃないのかい?」
「なに、今回は大丈夫やって。なんせ、こんな若ぇのに来とるんだで。」
2人の会話を聞きながら、ユーゴ達は来になった部分について話し合う。
「今……『危険』とか言ってなかったか……」
「言ってた気が……」
「言ってた」
「なーんか、すげー厄介な事に巻き込まれたような……」
若干の冷汗を流しながら、事を見守る。
「まぁ、来て貰ったものは仕方ないかね。あんた達、宜しくね」
「あー、いや何と言うか……」
どうやらこの女性も乗り気らしい。そう感じたユーゴは頭を掻き、申し訳なさそうに口を開く。
「色々説明したいので、申し訳ないですけど村長さんに会わせて戴けませんか?」
「村長?」
老人2人が、きょとんとした顔をする。それを見た3人も時間が止まる。
「あんた何をたぁけた事言うとりゃぁす、目の前におるがね」
「えっ!?」
「あ、あなたが村長さんだったんですか!?」
目を見張った2人に、女性が優しく微笑みお辞儀をする。
「どうも初めまして、ここファーラストの村長をさせて戴いております、ミクアで御座います」
「あ、初めまして……僕はユーゴ=F=アンクスです。こっちはフィル、それでこの子がリムです」
紹介をしつつ、頭を下げる。フィルも頭を下げたのを見て、リムもぎこちなく頭を下げた。
「ユーゴ君にフィルちゃん、そんでリムちゃんやね。宜しく。ワシはミノウ。皆からはミノ爺さんて呼ばれとるよ。一応、村長の旦那やで」
「一応ってなんですか、あなた。何か不満でもおありですか?」
「いやいやいや、言葉のアヤだて!」
案内してくれた老人の正体まで明らかになり、2人はまたも驚かされるのであった。
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