第1章「出会い」

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「じゃあ、一緒に帰ろっか」 「うん」 僕が帰ろうとした時は、まだ誰も帰る用意を終えていなかったのだが、アンルの片付けを手伝い終えた時には、もう教室にいる生徒は片手で数えられる程になっていた。 「ところで、フェル君はホーネス君と仲いいよね。 いつからの付き合いなの?」 急に質問されたため、ちゃんと聞き取れなかった。 「えっ?」 「だから、ホーネス君とは付き合っているの?」 一瞬、僕の周りの時が止まったかのようだった。 アンルは純粋で無垢な瞳を輝かせながら、こちらを見つめていた。 「ま、待って、僕はホーネスと、つ、付き合ってないよ」 アンルが言っている事がまったく理解できない。 僕は性別という壁を超越してまで、恋をする気はない。 とにかく否定しなくては。 僕は人見知りをして確かに友達は少ない。けど、いくらなんでも仲が良い男友達との恋愛はありえない。 そんな変態に思われる前にどうにかしないと。 「えっ、だってお昼も一緒に食べてたじゃない」 「確かに食べたけど、ぼ、僕は同性との恋愛なんかに興味ないよ」 先程の僕のようにアンルの周りの時が止まった。 「えっ?」 「え?」 アンルはまさに『心ここにあらず』その言葉がとても似合うような顔をして、こちらを見ていた。 僕もイマイチ状況を把握できてはいなかった。
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