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「じゃあ、一緒に帰ろっか」
「うん」
僕が帰ろうとした時は、まだ誰も帰る用意を終えていなかったのだが、アンルの片付けを手伝い終えた時には、もう教室にいる生徒は片手で数えられる程になっていた。
「ところで、フェル君はホーネス君と仲いいよね。
いつからの付き合いなの?」
急に質問されたため、ちゃんと聞き取れなかった。
「えっ?」
「だから、ホーネス君とは付き合っているの?」
一瞬、僕の周りの時が止まったかのようだった。
アンルは純粋で無垢な瞳を輝かせながら、こちらを見つめていた。
「ま、待って、僕はホーネスと、つ、付き合ってないよ」
アンルが言っている事がまったく理解できない。
僕は性別という壁を超越してまで、恋をする気はない。
とにかく否定しなくては。
僕は人見知りをして確かに友達は少ない。けど、いくらなんでも仲が良い男友達との恋愛はありえない。
そんな変態に思われる前にどうにかしないと。
「えっ、だってお昼も一緒に食べてたじゃない」
「確かに食べたけど、ぼ、僕は同性との恋愛なんかに興味ないよ」
先程の僕のようにアンルの周りの時が止まった。
「えっ?」
「え?」
アンルはまさに『心ここにあらず』その言葉がとても似合うような顔をして、こちらを見ていた。
僕もイマイチ状況を把握できてはいなかった。
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