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「あっ、一さん!」
「!、平助か」
ぱたぱたと子犬のように平助がやってくる。
「ん?どうかした?」
赤くなっている(らしい)顔を手で覆い隠している彼を不思議に思いながら問いかけた。
「いや…それよりどうした?」
「あっと、雪どこいったんだ?」
「雪なら…」
その言葉と同時に扉が開いた。
「おにい…っわ、平助先生。どうしたんですか?」
「なんだ、もう着替えちったか」
「?、はい…先生、何を持ってるんですか?」
「これ?っじゃーん!」
待ってました!と言わんばかりに手に持っていたそれを広げる。
それは、
「女性ものの…きも、の?」
「綺麗だろ?八木さんから借りてきた!」
八木…この屯所の家主から借りてきたという、女物の着物。
椿の柄が美しい着物だった。
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