六章

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「いやー暑かったからよー」 「はは…」 「左之っ雪に水ぶっかけただろ!びちょびちょじゃんかー」 ひょいっと抱えられる。 「っ斎藤先生…?!」 「…そのままだとバレるぞ」 「!」 水で濡れた着物が体にぴったりと張り付いていた。 サラシを巻いているとはいえ、これでは女とバレてしまう。 「左之助」 「んあ?」 「あんまり、うちの小姓を苛めてくれるな。」 「…はい」 すたすたすた、と一は雪を抱えたまま去って行った。 原田はというと、珍しく怒りを隠しきれていない一の声に固まっていた。
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