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「…」
「……」
「いったか。…早く着ろ」
雪を放し、再び後ろを向く。
「あ、りがとうございます…」
どくん、どくんと心臓がうるさい。
雪の体を咄嗟に隠すためにした行為だったのだが、一に抱きしめられたという現実に心拍数が上がっていた。
「心配するな」
「へ…?」
「なにも、見ていない」
「っ!お、お兄ちゃんの助平…!!」
お兄ちゃん、そう呼ばれたことが嬉しかったのか、クスリと笑い、
「外で待っている」
そう言って出ていった。
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