六章

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「…」 「……」 「いったか。…早く着ろ」 雪を放し、再び後ろを向く。 「あ、りがとうございます…」 どくん、どくんと心臓がうるさい。 雪の体を咄嗟に隠すためにした行為だったのだが、一に抱きしめられたという現実に心拍数が上がっていた。 「心配するな」 「へ…?」 「なにも、見ていない」 「っ!お、お兄ちゃんの助平…!!」 お兄ちゃん、そう呼ばれたことが嬉しかったのか、クスリと笑い、 「外で待っている」 そう言って出ていった。
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