『メイク』

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「目開けて」 ぎこちなく開いたその目に私は一瞬で吸い込まれる 「‥綺麗」 言葉を失いそうだった 「え‥まじ?」 私の表情に君も驚いて聞き返す 私は我に返るとにいッと笑いながら言う 「うん、最高傑作かも」 君に鏡を貸すと 「うわっ、自分じゃないみたい。てか女の子みたい」 「女の子みたいって、女の子でしょ」 自分の激変にあまりに君が興奮するから、頬が緩むのを堪えるのが大変だった 「あたしもメイクしてみようかな?」 君は冗談でも言うかのように悪戯な笑みをみせる だから私も軽い調子で、だけどはっきりと言った 「駄目」 だって君は綺麗だから これ以上綺麗になったら私は心配になってしまうよ *
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