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二人は息をのみ、草むらを見つめる。
そして、出てきたのは・・・
「あっ姉様!!いたよ!!」
キャンキャンと話す紅夜だった。
二人は目を見開き、人語を話す犬、山犬を見つめた。
「おい、犬って話すか?」
「何言ってんの?頭まで壊れた?馬鹿牛。」
「イヤ、でも・・・。」
そうこう言い合ってる内に、一際大きな狛羅とその背に跨がってる理嵐が現れた。
理嵐は二人をチラッと見た後物凄い速さで二人を見た。要するに二度見。
それは、どうやら二人も同じようで、突如現れた山犬と行動する人間に戸惑いを隠せないようだ。
「・・・迷子?」
理嵐はポツリと呟いた。
「・・・・・・君、誰?」
笠を被った青年は殺気を出しながら問う。
「フ~・・・、人に名乗ってもらう前に先ずは自分からだろ?」
理嵐は狛羅から下りて二人と向き合う。
笠の青年は警戒しているのか黙り込んでいる。
「俺は高杉晋作だ!!」
「お前馬鹿ッ!?
何本名名乗ってるの!!?」
暴れ牛・・・もとい高杉は青年に頭を叩かれた。
「痛てーよ!!栄太郎叩くなっ!!」
「何俺の名前も言ってんだよ!!」
「だっ!!?」
又もやゴッという音を立て頭を殴った。
「・・・高杉晋作に、栄太郎ね。
俺は神崎理嵐ね。
・・・聞いてねーか。まっ良いや。」
理嵐は己の自己紹介を始める。
だが二人は言い合ってるため聞いているかどうか分からないし、理嵐は止めるのも面倒なのかため息をつき、終わるのを待つことに決めた。
「だっだから!!」
「こうなったの誰のせい!?」
「いや・・・それは・・・。」
「それにコイツが壬生浪士組の奴だったらどうするんだよ!!!」
「あっ、俺壬生浪士組ッスよ。
長州浪人の方々。」
理嵐がそう言うと二人は固まり、ギギギギ・・・と音を立てながら理嵐を見る。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
「・・・なんなら神妙に尾縄について貰えないッスか?」
理嵐はニコッと笑いながら言う。
狛羅が後ろで グルグル と唸り声を立てる。
辺りはたちまち緊迫した空気になる。
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