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「さて、と・・・。」
理嵐はストンと地面に腰を下ろすと二人を見つめる。
「なんでこんな所にいるの?
明かに人が通る道じゃないし、絶対獣道でしょ此処?」
理嵐の質問に高杉はダラダラと冷や汗をかく。
「・・・それならこの暴れ牛が、『俺は京までの道をしっかり覚えてるっ!!
だから安心しろ栄太郎!!』って言ったから信用して着いてきたら・・・ねぇ?」
栄太郎はギロリと高杉を睨みつける。
しかもどうやら警戒を薄めたようだ。
「道に迷ったって事か。
ふ~ん。この牛が、ね。」
理嵐は高杉をマジマジと見る。
「(・・・なんで幕末の武士達は全員イケメンなんだ?実際の写真と偉くちげーな。
高杉ってあれだろ?狐みたいに目が吊り上がってる奴。
沖田も従兄弟をモデルにして描いても平目顔だったし。世の中って不思議だな・・・。)」
理嵐はそんな事を思いながら見ている。
「(しかも、栄太郎って言えば、“吉田稔麿(ヨシダトシマロ)”だろ?
イケメンだね~。)」
もう一度言っておくが、理嵐の性格が変わってるのは満月のせいだ。
「それで?君は何をしてたの?壬生浪の隊士さん?」
栄太郎・・・もとい吉田は理嵐を見つめる。
「(・・・この男、髪が金色に近い。目も翡翠色だし・・・。)」
吉田もまた理嵐を観察しながら問う。
「ん?俺等はただの散歩さ。」
理嵐は後ろをチラッと見る。
紅夜と狛羅は伏せの状態でこちらを見ている。
「・・・まぁ理由は大まかに聞いたし、行こうか。」
理嵐は よっこらしょ と言いながら腰を上げ、同じく腰を上げた狛羅に跨がる。
「?行くって何処に?」
高杉は首を傾げる。
「決まってるよ。京に行きたいんでしょ?案内してやる。」
「・・・君、壬生浪士組でしょ?」
「ん~今回はプライベートだし、良いよ。別に。報告も面倒臭いし。」
理嵐は頭をポリポリかきながら呟く。
「信用してもいいんだよね?」
吉田はうたぐりながら問う。
「・・・好きにしな。」
理嵐・・・狛羅は身を翻すとまるで着いてこいとでも言うように歩きだす。
その後を、紅夜と吉田、高杉は着いていく。
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