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「さて俺達は行きますか。」
理嵐は紅桜を撫で終え、狛羅を優しくポンポンと撫でていた。
吉田は無言で紅夜を降ろし、沖田は紅桜に跨がる。
「先程も言ったが此処から真っすぐに道に沿って行けば京に着く。
最後まで送って行きたい所だが、この子達がいるからな。」
「分かってるさ。イロイロありがとうな理嵐。」
「おう。じゃあ元気で。」
理嵐がそう言った後突風が吹き、二人は目をつぶった。
二人が目を開けた時には巨大な山犬や敵である壬生狼の姿はなかった。
二人はまるで狐に化かされたような気持ちでいたが、ハッと我に返り、山道を歩いた。
しばらく二人が歩むと、木々が開け京の町並みが広がる。
「・・・着いたな。」
「あぁ。
なぁ栄太郎。」
高杉はポツリと呟く。
そんな高杉を横目で見る吉田。
「また、会えるかな?」
「あぁ・・・
会えるさ。
きっと。」
そう呟く吉田の声は京から吹いた西風に消された。
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