局中法度

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  沖田はジッと食い入る用に理嵐の顔を見る。 否正確には目を。 「理嵐。大丈夫なのか?」 沖田は労る用に聞いてくる。 「・・・何がだ?」 「だって、    目が紅い。」 沖田は理嵐の返答を待つ。 「・・・大丈夫だ。満月が近くなると夜明けに目が紅くなるだけだ。 得に害はないし、しばらくすれば元に戻る。」 理嵐がそう言ったのとほぼ同時に目の色は血のような紅から、若草のような翡翠に戻る。 「ただ・・・満月の夜は私に近付かないでくれ。」 「何故?」 「・・・間違って・・・   殺しちゃうから。」 理嵐は淋しそうに笑う。 そんな姿を見たくない沖田は理嵐の腕を引っ張り、理嵐を己の腕の中に入れる。 理嵐は目を見開き固まった。 「・・・大丈夫。 俺は、どんな理嵐でも、傍にいるよ。」 沖田の言葉に理嵐は顔を上げる。 「・・・・・・私が人殺しでも?」 「うん。俺も殺してる。」 「・・・人食べるかもよ?」 「大丈夫。」 「・・・総司を殺すかもよ?」 「平気。だって俺一番組組長だぜ?そんな簡単に殺されるかよ。」 沖田は ニシシシッ と笑う。 そんな沖田に理嵐はフッと苦笑する。 「ねぇ理嵐。 俺はどんな時でも理嵐の傍にいる。 理嵐が化け物になったって・・・ずーっと、ずーっと一緒にいるよ。」 沖田の顔は真剣そのもので、理嵐はその顔をジッと見る。 「・・・変な奴。私の傍に自ら居たいとか・・・クククッ。」 理嵐は右手の甲を口元に当てて笑う。 「ムッ・・・俺はぁ「ありがとう。」・・・へっ?」 沖田が文句を言おうとした時理嵐がお礼を言う。 勿論微笑みながら。 沖田はそれを見て耳まで真っ赤になったのは言うまでもない。  
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