局中法度

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  「つか、そんな事どうでもいいや。 とりあえず、山南さん。」 「あっはい?」 山南は理嵐を見る。 「課題の方は?」 「あっ・・・それなら。」 山南と土方は顔を見合わせた。 それで理嵐は納得したようだ。 沖田は状況を見て、歩、三馬鹿を部屋から退室させた。 「さて、何処で言い合ってんの?」 皆を退室させた沖田はちゃっかり理嵐の隣に座った。 「一応作ってみたのですが・・・。」 そう言って一枚の紙を渡す山南。 それを理嵐と沖田は見る。 ―――――――――――――― 一(ヒトツ)、士動ニ背ク間敷事 一、局ヲ脱スルヲ許サズ 一、勝手ニ金策致ス可カラズ 一、勝手ニ訴訟取リ扱ウ可カラズ 一、私ノ闘争ヲ許サズ 右条(ウジョウ)ニ相背ク候者ハ切腹申付ベク候也 ―――――――――――――― 「総司は、どう思う?」 理嵐はとりあえず沖田に聞く。 「ん~・・・ハッキリ言ってこれで良いとは思います。ようするにこれ等をしなければいいんでしょ?土方さん?」 沖田は顎に手を当て土方に問う。 「まぁそういうこった。」 それを聞いて理嵐は ふ~ん と呟き、なら・・・と続ける。 「ならさ、“女と酒”も付けるべきじゃない?あと“権力”?」 理嵐は土方を見る。 「なっ・・・!?」 「どうして、そう思ったんだい神崎君。」 山南は仏並の優しい言葉で問う。 「簡単。 男を・・・隊を乱すのが“金”“女”“酒”“権力”だからさ。」 理嵐は指を一つずつ挙げていく。 「歴史の大まかな流れを見ていくと、かの藤原氏も裕福な生活、絶対的な権力を得る為に天皇との結び付きを強くしたり、 本来どうかは解らないが、戦国乱世もそう。己が権力者になりたいが為戦をする。全員とは言わないがな。 ましてや徳川も同じ。自分等は裕福な暮らしをするが、他はどうでも良い。己等に危険がないようにまた、利用しやすいようにこの国を作った。 現に上下関係を重視した“朱子学”を武士に読ませ、幕府・・・徳川に刃向かわないようにされているはず。」 『!!』 三人は気付いたようにピクッと動く。 話がそれたな、と理嵐は呟く。 「権力は分かったが何故・・・女と酒だ?」 土方は眉間にシワを寄せる。  
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