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「ん~例えばだが、沖田に愛しい愛しい恋仲が出来たとする。」
「なっ!!///」
「例えばって言っただろうが!」
沖田は赤面し、驚く。
それを理嵐は遮る。
「まずは、質問だ。
その女が実は間者で土方の命令で殺さなければならなくなってしまった。果して沖田は斬れるのか?」
どうだと思う?
と理嵐は土方、山南に問う。
「そらぁ斬るだろう。」
土方は即答。
「・・・いや、いくらなんでも好いた女子を総司は、少なからず斬れないと思います。」
山南は考えて答えをだす。
「うん、なら沖田に答えを聞こうか。
沖田、もし今現在好いている女子がいるならそいつを思い浮かべろ。
それで、そいつを躊躇なく斬れるか?」
「・・・わ・・・私、は・・・俺は、斬れない。」
「!!!」
「斬れても・・・俺はきっとそいつの後を、追うはず・・・。」
沖田の解答に土方は驚き、目を見開く。
「ほら、そういう事だ。
男は長い歴史を見ても女子をしかも、己の愛した女を斬る事はできないはず。
現に俺も総司と同じ意見だ。己を受け入れた相手を他人に“殺せ”と言われただけで、そう簡単には殺す事など出来ないはずだ。」
それが人間だ。 と呟く理嵐。
「分かった。なら、緩和しよう。
俺じゃ、鬼の法度になっちまうから・・・仏の副長の考えを入れてもいいか?」
土方は折れたように呟き、山南を見る。
「土方君。はいっ・・・勿論です。」
山南は嬉しそうに笑って答える。
二人はその後、法度の制作に没頭し始めた。
理嵐と沖田はそばでその様子を眺めていたが、安心したのか、部屋を静かに出た。
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