人生あきらめは肝心

2/9
前へ
/175ページ
次へ
山桜が咲き誇る心地好い季節・・・春の山。 その山の獣道をのんびり歩く少女が一人・・・ 《キーンコーンカーンコーン・・・ 「あー完璧に遅刻だ。さーて諦めよ。」 「コラ、理嵐諦めるな‼お前の足なら間に合うだろ‼」 理嵐(リラン)と呼ばれた少女・・・見た目よしの美少女だ。だが、それはスカートを着ているから判断できることで、男服を着れば美男子にも見える。 「えー、人間何事も諦めが肝心なんだぜ?諦めるなってんなら白が乗せてけよー」 白(ハク)と呼ばれた犬・・・否人語を話している時点で獣では無いことはわかる。 「お前は・・・名付け親で育て親である俺に命令するのか?」 グルルと唸りながら理嵐を睨みつけるが、大きさが子犬ほどなので怖くない。 「名付け親って・・・そりゃあ拾って名前着けてくれたのは感謝するけど、俺の学費等は神主さんじゃないか・・・」 二人(?)が文句を言いあっているうちに山を抜け、街中に出た。 「ほら、山は抜けた。気をつけて行けよ」 「あぁ・・・」 どうやら白は此処までのようで山との境目のところにチョコンと座り尻尾をパタパタと振っている。 理嵐はクスッと笑い学校へ向かった。 《ビュウゥゥゥ・・・ 突然風が吹き山桜の花びらが舞った。 「嫌な風が吹きやがる・・・何も起こらなきゃいいがな。」 白は見送った後晴天の空を左右違う眼で睨みつけた。 。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1121人が本棚に入れています
本棚に追加