桜のダンス【事件編】

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どういうわけか田渕さんの僕に対するハイパーフルボッコタイムが廊下で10分ほど続けられた後、アキトがようやく戻ってきた。 「おぉ!お待たせーー!……ってトシ、なんでお前そんなボコボコなんだ?」 「そんなの田渕さんに聞いてくれ……」 中尾さんの隣に戻った田渕さんはフン!、とした感じで僕と目を合わせようともしない。 嫌われちゃったかなぁ…… すると今までずっとオドオドしていた中尾さんが彼氏(アキト)の登場により落ち着きを取り戻して言った。 「明人くん、こんなに人を待たせちゃダメじゃない!」 アキトはだらしない笑顔を浮かべた。 「ごめんよぉ~ハルカ、生徒会室で少し整理しなくちゃいけない書類があって……」 「もぉー明人くんったらドジなんだからー」 中尾さんは小さな子供を相手にするような笑顔で応えた。
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