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コンコン
落ち着く暇もなく、外から扉が叩かれる
「銀です。入ってもよろしいでしょうか?」
「ええ、どうぞ」
返事をすると燕尾服に身を包んだ1人の男が姿を現した
高身長で細身なその男は優雅に一礼する
「失礼します」
「何用ですか?」
間髪入れず未月がそう問うと、銀はゆったりとした口調で要件を述べ始めた
「本日は王の日です。1時間後に正装をして聖堂にお集まりください」
王の日、ね……
「分かりました。いつものように、私1人で向かうので迎えは不要です」
「承知しております」
銀はまた優雅に一礼した
「1つお願いがあるの。その後、アロウを呼んでおいてくれる?」
そう言うと銀の顔が少し歪む
理由は知っている
私が今の地位に似つかわしくないことをするからだ
「アロウですか……。剣術をなさるのですか?」
誰も私のすることに意を唱えることはないが、ほとんどの人が賛同もしてくれない
賛同してくれる人はほんのわずか
「ええ。お願いできる?」
「承知致しました」
銀はまた一礼をし部屋を出ていった
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