†第2章†

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先程まで纏っていた恐怖と疲れが少し和らぐ あの刀に触ることができる それが今の未月の心の支えであり、小さな幸せだった 普通の、何もない日に私が剣術をすると言うと、嫌でも誰かに見張られる 私が怪我をしないか心配である以上に、立場にそぐわないことをしないか、そんな体裁ばかりを押し付けられる 親からの干渉というより、この国の上層部からの干渉だ だから干渉されにくい王の日の後を狙う 未月は王の日の後のことを考えて、無意識に笑みが浮かべた あの刀に触れるのは1ヶ月ぶり 自分の武器に触れること、それは簡単なようで未月には難しい 難しくさせている原因は生まれ持ったこの立場 豪華絢爛な装飾が施された部屋をぐるりと眺め、1つ大きなため息をつく ある人にとっては、この立場に生まれたことは最大の幸福という でも私にとって、自分の生き方を選べないことは最大の不幸である そんなことを考えながら、未月はクローゼットを開けて奥のダンボールを引っ張り出した
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