第1話 ~夢の始まり~

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そんなことを想像してると、奏が聞いてきた。 「で、わたしがどうしてここに住もうとしてるか分かったかしら?」 「あぁ。突然聞いてごめんな。まぁー、これからよろしくな」  おれがそう言うと、奏はまた微笑みながら言った。 「えぇ。よろしく祐輔」  そうして二人で話していると、受付の奥の扉から人が出てきた。 「二人共玄関で何してるの? 入らないの? もう他の子たちはみんな揃ってるから」  そう言っておれたちの方に向かってきたのは、このすばるの管理人の松田久美子さんだ。  セミロングくらいで、毛先にウェーブのかかった茶色の髪。  身長がやや高く、スタイルは抜群だ。  それに、けっこう露出度の多い服を着ている。 見た目はもうどこかのキャバ嬢と言ってもいいくらいきれいだ。  そんなきれいな人が、なぜこんな和風アパートの管理人さんをやっているのかというと、 この和風アパートすばるは、元々は管理人さんのおばあちゃんが建てた旅館らしい。 だけど、おばあちゃんが亡くなってしまって、身内で誰かが継ぐことになったけど、 継ぐ人が現れず、管理人さんはその時は仕事をしてなかったらしくて、無理やりお母さんにやれと言われて、管理人さんになったらしい。  なんでおれがそんなことを知っているのかというと、一度ここに引っ越しの準備をしに来た時に話してくれたからだ。 で、その美人の管理人さんがおれたちに話しかけてきたのだ。  おれたちはやや遅れて、 「あ、すいません」「わかったわ」 と言ってから、靴を脱いでスリッパに履き替えた。  それを見ていた管理人さんは、おれたちがスリッパに履き替えたのを見てから、 「ついてきて。他の子はもう集まってるから」  そう言っておれたちは、見た限り大きな部屋の前まで連れてこられた。  その部屋の引き戸の上には、 集会・食事の場、スピカと書かれていた。  きっとここに他のすばるのメンバーがいるんだろう。 一体どんな人たちがいるんだろう。 そう考えると、おれは少し緊張してしまった。  そう考えていると、さぁここよと管理人さんが言ってから、 その部屋への引き戸が開けられた。 「読み」 松田 久美子(まつだ くみこ)
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