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タイジは、ぼーっと窓から外を見ていた。
「あんな、先生……」
「ん?」
「なんで今日わしんとこ、来たん?」
「そ、そりゃ行くわよ」
京子は冗談ぽく笑いかけた。
「吉沢君が卒業式、来ないんやもん」
「う、うん……。でも先生もやろ? ……いなくて大丈夫だったん?」
あぁそうだ。
みんな、無事に卒業式できたかな……。
担任としての私は、大丈夫じゃないな、きっと。
「怒られるだろうなぁ、やっぱり」
「クビになったりせん?」
不安げな顔で、タイジは隣の京子をみた。
「さぁ、どうかな………?」
タイジは強く京子の手を握ってきた。
「吉沢君の手、えらいあったかいなぁ、熱あるんちゃう?」
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