卒業式

14/14
前へ
/232ページ
次へ
タイジは、ぼーっと窓から外を見ていた。 「あんな、先生……」 「ん?」 「なんで今日わしんとこ、来たん?」 「そ、そりゃ行くわよ」 京子は冗談ぽく笑いかけた。 「吉沢君が卒業式、来ないんやもん」 「う、うん……。でも先生もやろ? ……いなくて大丈夫だったん?」 あぁそうだ。 みんな、無事に卒業式できたかな……。 担任としての私は、大丈夫じゃないな、きっと。 「怒られるだろうなぁ、やっぱり」 「クビになったりせん?」 不安げな顔で、タイジは隣の京子をみた。 「さぁ、どうかな………?」 タイジは強く京子の手を握ってきた。 「吉沢君の手、えらいあったかいなぁ、熱あるんちゃう?」
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加