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いつものように二人きりでの下校中、人足もまばらになってくると、せきをきったかのように悪態をつき始めた。
さすがに凹む。
「……ごめんって」
「やだ許さない修が土下座して私の足を舐めて裸で逆立ちして一生の忠誠を誓うくらいしてくれないと許さない」
「そんなことでいいのか!? よしわかった待ってろ」
「私が悪かったよっ!」
今まさにベルトを外そうとする僕の手を初が止めた。
ああ、初の手柔らかいよぅ。
「あれなんで私が謝ってるの!?」
「それは初が僕の要求したプレイに首を振ったんからだ。『ごめん、修。そんなんじゃ満足できない。もっと激しく』って」
「しないっ」
頭を叩かれた。
快感だ。
「ああ、そうか。今はまだ昼間か。夜の初じゃないもんな」
「夜の私って何!? 明らかに妄想じゃん! やめてよ、なんか私が変態みたいに!」
「そうだね、夜の初は僕だけの秘密だ」
「その口もう開かないでよっ」
初が下唇を噛むのは本気で怒る一歩手前だ。ここいらで引いておかないと僕が死ぬ(初が口聞いてくれなくなるから)。
初は激昂モードから退き、ため息をついた。
「でもさ、本当にやめてよ。私だって変態は嫌だよ」
「(僕は大歓迎だけど)わかった、ごめん」
「なんか感情こもってない気がするけど」
「ああ、初は可愛いなぁ」
「さっきと感情のこもり具合がまるで違う!」
ああ、初のツッコミ気持ちいいなぁ。びしっとくるなぁ。
「……さっきから会話が成り立ってないよ」
「成り立ってんじゃん! 完全に全宇宙で一番の夫婦漫才だったじゃんか!!」
「キレられた!?」
もう、と初は可愛らしくも頬を膨らませた。
「何度もいうけど、クラスでああいうことするの言うのやめてよ。これは本当に」
渋々。
「……わかったよ」
「でもこれ言ったの何百回目なんだよね」
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