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初が僕のことをどう思っているのか見極める必要がある。
そのためならいくら初が困ってようが、眉根を寄せてようが、目線をうろうろさせていようが、……かまわ……ぐ……な……かまわな……………かまわないっ!
今世紀最大であろう葛藤に神経をすり減らしていると、トコトコと。どこか頼りげのない足取りで僕に近づいてくる者がいた。
初だった。
やばばばばばばばばば。初ってば可愛すぎる。
彼女は僕の机の近くまでやってくる。と、手を伸ばして僕に触れようとするが、また引っ込める。
周りからみたらなにしてんだコイツはって感じだが、初をコイツなんて言ったやつはその場で爆殺する。
そろそろ限界だぞ。
「あの……修?」
やっとのことで初は口を開いた。心なしか声が震えている。
「えと、……帰らないの?」
「帰る!」
僕はついにこれ以上は発狂しかねないというところまできていたため、そのもやもやしたエネルギーを全て声にした。
見事に大声だった。
そしてそのまま勢いにのせて初を抱き締めた。「ちょっ!」
よし、これで第一の関門は突破した。初は僕のことを少なくとも嫌ってはいないし、一緒にいたくないとも思ってはいない。
やばい、これは嬉しい。好意を寄せる相手が自分を気にかけてくれている、この気持ち。
イリィィィィィヒャッホォォォォォォッッッッ!
「いっ、いつまで抱きついてんの!」
「この命尽きるまで」
「なんでよっ! 皆見てるじゃん!」
「え? なんか問題が?」
「何そのさも意外そうな顔! 問題しかないよ! だから離れてよ」
「嫌だ!」
「頑なっ!?」
結局初がキレそうになったので、渋々離れた。
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