戦うことを

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「なんで?・・俺にも良くわからない・・。」 「ならば、人など見捨て置けばよろしいではありませんか。」 「そうも、出来ないんだよ・・・。」 「何故ですか。私には理解できません。」 「・・・お前も外に出てみろよ。・・・外の世界は不思議なことばかりだ。」 谷の外に出れるものは100歳を超えた龍のみに許されていた。100歳とは、成人として認められる年齢を意味していた。 100歳までは、仕事を持たず、谷の外への外出も誰かの守護をすることも禁じられていた。 そして、朔恋は今年やっと100歳となる。 「外に出れば貴方様の言っている意味が分かるというのですか?」 「・・・ああ、きっとお前なら分かるはずだ。俺が人に心奪われたようにきっとお前も心奪われる。人ははかなきもの・・しかし、その思い俺達には理解出来ないもの・・。目を離せない。」 「私の心を奪えるのは貴方様ただ一人ですよ?」 「あははは、たいした殺し文句だな♪」 照れもなくそうきっぱりと言い切った朔恋の言葉に螢蒔は楽しそうに笑っった。 それをみて朔恋も嬉しそうに笑う。 恋人同士と言う言葉は似合わないかもしれないが、夕焼けを眺め楽しそうに笑う二人はそんな風にも見えた。
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