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いつか
その日谷は怒りと悲しみに包まれていた。
四代目水龍若の妹が死んだ・・・人に騙され殺された。
彼女は100歳を超え、谷を出た。
谷を出て、外の世界に行った。
外の世界で彼女は人とであった。
人は彼女に心惹かれ、彼女も又人に心惹かれた。
彼女は人と守護の契約を交わし、誓いの儀には彼女の愛しい物、四代目火龍若が立ち会った。
守護それは、自らの命の半分を人に与えその者の命尽きる時までそれを守る・・・。龍族に置いて最上級の親愛の儀だ。
龍族がそれを破るときは人に愛想をつかした時、人が契約を交わした時の思いを忘れ、私利私欲を望んだ時のみ・・・。
その時守護し龍はその者から離れ、人はその報いを受ける。
朔恋はそれを叶えることが出来なかった。
いつか昔の思いを取り戻してくれる・・・そう信じ、彼女は人に殺された。
「朔恋・・・。」
墓場には谷中の龍が集まっていた。
龍はそれぞれ手に花を持ち青い美しい結晶となった朔恋に花を捧げた。
その瞳には涙が浮かび、短き命を終わらせた彼女を思い、皆涙を流した。
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