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全てを
「何故、彼女が殺されなければならない。彼女は人に、人の望むもの全てを与えた。
地位、名誉、財産、力、心・・・望むもの全てを!
それなのに人は彼女に何を与えた!?
ただ奪っただけではないか!彼女が何をした!?人は何故彼女の死を望んだ!?
かくも人とは欲張りなものなのか!?
そのような者を許すわけにはゆかぬ!
滅ぼせ!全ての人を!我々の怒りを思い知らせよう!
我々はその様なものどもの為にこの地を守ってきたのではあらぬ!
私利私欲の為に他の生物達を食い尽くす者どもの行いを許す気はない!」
三代目地龍の長の怒りは頂点に達していた。
龍族の役目はこの自然の理を見守り、それを次の世代に受け継がせること・・・何万年もの間それを守り通してきた彼らが初めてそれを破ろうとしている。
恐竜達が滅びたときも彼らはただ静かに、それを見続けた。
どこか自分達と似た姿を持つもの達が滅ぶ時でさえ彼らは冷静さを失わず、ただ自分達の役目を守り通したのだ。
しかし、それは次に生まれるもの達がもっと素晴らしい者になってくれることを信じていたから、彼らは役目を守り通したのだ。
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