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「もう、眼をつぶることはない!人を滅ぼそう!」
龍族のすべての長の意見が一致した。人は滅ぼされる・・・。
「待ってくれ、俺はその意見に納得できない。」
そんな中ただ一人その決定に逆らったものは螢蒔だった。
「四代目火龍若、何故だ?おぬしこそ一番にこの決定に賛成するのではないのか。」
「確かに俺は朔恋を殺した人を許すことはできない。・・・しかし、人はそんな者達じゃないと俺はまだ信じたい。朔恋は人を愛した・・・間違っていようともなんであろうとも・・俺は、人には愛する価値があると信じたい!この決定には従えない!」
「螢蒔・・・それが、そなたの答えか?」
一言も語らず、ただ静かに長の話を聞いていた李狛はそう穏やかに尋ねた。
「李狛・・・悪いな。お前は納得できないかもしれないけど・・俺は人を信じたい。」
そう親友に答える螢蒔の瞳に迷いはなかった。
「・・・仕方がないのぅ。・・・地の長、私も人を滅ぼすのには反対いたす。」
「四代目水龍若!?何故、おぬしまでも人に思いがあると申すか?」
「私は螢蒔程にまだ、人を知らぬ。しかし螢蒔の事は誰よりも良く知っておる。私は螢蒔を信じるつもりじゃ。」
そう言った李狛の眼にも迷いはなかった。
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