奴ガ鈴木太郎先生?

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俺が館内に入ってから数分、何の動きもしないはずの横の壁から音がした。 パタンっ、という軽い音。 なんだ、向こうにはドアがあったのか。右の方で鳴った音に誰かきてくれたのかと、俺は少しほっとした。 だが、変だと思わないか?閉まったということは誰かが、この大広間のような所から『入ってきた』のではなく、『出て行った』ことになる。そう思った理由は、開いた音が全く聞こえなかったからだ。元から開いていて、誰かが覗いていた? ガチャっ 今度は左の方から、ドアが開く音がした。 なんだ!?この館ではポルターガイストでも起きているのか!? 『死神』という言葉の所為で頭の中からあの噂の事が離れない。 開いたドアからは、誰も出て来ない。俺は決心して、そのドアの中へ恐る恐る入り込むことにした。壁を伝い、そっと入り込んだ。
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