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長く掛かって本題だ。コイツは一体、俺に何を押しつけようとしてるんだ?
「編集長、俺に何か大事な仕事でも?」
緊張しながら、やっと口から言葉が出た。これがオーラというものなのか?話しにくいったら、ありゃしない。おっと、ちょっと口調が砕け過ぎたかな?
「君は小説のために死ぬ気はあるか?」
編集長の言葉に俺は戸惑った。何を言っているんだコイツは。ここに勤めて一年、俺は死ぬ気でやってきた。勿論、これからも変わらず、やっていくつもりだ。
俺は20歳、まだまだ若いからな。
「あ、あります」
俺は今以上に死ぬ気でやる仕事はないだろうと思い、即座に答えた。
「鈴木先生の担当になって、原稿を取ってきて欲しい」
編集長の願いはこれだけだった。鈴木先生……、この出版社の中で最も恐れられている名前だと思う。
それには何とも言えない不思議な理由があった。
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