0人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっへへ、まぁね。こんな時に政府の言う通りに外に出るななんて出来ないからね。それより!
やっと警戒心解いてくれたみたいだし、宿、もしかしたら探してない?
私が泊まってる商売臭くない良い宿屋があるの。冒険者仲間て初めてだし、沢山情報交換したいんだ!
来るだけ来てみない?」
端から見れば宿探しの冒険者だった事は一目瞭然だったのだろう。
だが、冒険者は嫌われているから宿屋からは決して声をかけないのだ。
酒場などからは声は掛かるがそれは全く別の話だ。
「お。じゃぁ…お言葉に甘えて」
彼自身他の冒険者と出会うのは初めてだったのだろう。退屈しのぎにも、宿を探す手間も一瞬で省けて少し心の中で笑っていた。
「エルは何で冒険してるのかな?私はね、政府が嫌いだから反発して冒険にって」
エルが案内されたのは街外れの小さな宿屋であった。みた所二人以外の宿泊客は居なそうで、従業員も店主しか居なそうだ。
「俺は…俺としての役目を果たすために冒険してる。別に政府だのなんだのは余り興味は無かったかな。
最初はね」
店主は人柄の良さそうな中年の女性で冒険者慣れしているのだろう。警戒心が全く無くエルにも部屋を貸してくれ、二人は広間に入り食事を待ちながら雑談を始めた。
「最初は?今は違うって事なのかな?」
「そ。俺の役目を全うするには政府の存在、考えが壁になって立ちはだかる事がわかってね。邪魔とは安易には言わないけどさ」
少し、エルの表情が曇った。レイスはそれを見逃さなかったが、敢えてそれについては言及しなかった。
最初のコメントを投稿しよう!