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背の高い草と背の低い木が入り乱れた森の中を、僕は草と葉を掻き分けるようにして進んでいた。
獣道。頭上の葉の層は厚く、太陽の光は大幅に遮られ、足元は暗い。
方向を見失い、それでも歩き続けていると、突然視界が開けた。
驚いて当たりを見渡すと、今僕が立っている所を円周の点として、滑らかな丸型に更地のような空間が開いていた。
あんなに厚かった葉の層も、地面と同じように丸く切り取られのだろうか?青い空が筒抜けて見える。
「ちょっと、そこの少年!」
呆けて空を見上げてつっ立っていると、丁度斜め後ろから誰かに呼び止められた。
しまった!と心の中で叫んだ時にはもう遅い。
僕は叱られるのを覚悟で恐る恐る俯きながら声がした方へ振り向いた。
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