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でも、今の話だと……。
「あっ、何が善で何が悪なのかの討論はまた今度ね?切りが無いと思うから。」
先に言われてしまった……。確かにその話をしても切りが無いと思うけれども……何か悔しいわ。
「やっぱりさ、人っていうのは薄情で偽善者でエゴイストなのかもしれない。」
ころころと変わるこいつは何が正しいと思っているのかしらね。
「でも、オレはレオン達とか皆が好きだ。」
山々を見つめて言う彼の目には山以外の何が写し出されているのだろうか。
「何でと思う?」
「さあ?分からないわ。」
ふわりと優しい声で問う彼の質問に半分投げやりに答える。
「オレ達人間は、一人一人“個”を持ってるんだよ。オレは確かに人だけど、それと同時にケン・ベックでもあるんだ。だからオレは、人の冷たさなんて霞んで消えてしまう程の暖かさを持ってるレオン達が好きなんだよ。」
そよ風が彼と私の髪をふわりと靡かせる。銀の髪をした彼は優しい笑みを浮かべる。
どうして……どうしてこんなにも彼は眩しいのだろう…。
彼の光は私の闇を照らそうとする。その光は私の影まで照らしてくれるのだろうか?
今はまだ分からない……。
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