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「………どうしてそう言えるのよ?」
口から出たのは小さき言葉。
「だって、オレがした事が例え偽善だとしても、結果的に言えばそれは善いことになるだろ?」
「…………?」
疑問符で返事をする。
「ん~…、具体的に言うと、ある所に飢えで死にそうな少年がいるとするね。その少年はまだ生きていたいと強く願っています。そこに丁度通りかかったオレが少年に食事を与えました。」
私は腕を組み静かにその話に耳を傾ける。
「でも、オレのその行為にエレナは偽善だのどうだの言う訳だけど、その少年にとってはそんなの関係ないんだよ。あるのは、オレが食事を与えたのでその少年は死ななかったっていう事実だけ。だから、偽善だろうと何だろうと、オレは善いことをしたっていう結果が残る。」
「…………………」
返す言葉を模索するが見付からない。
何でこいつは咄嗟に尤もらしい事を言えるのかしら。不思議でならない……。
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