黒白の羽根

崩れ去る平凡

その日は、彼女にとって平凡な一日になるはずであった。

いつもと同じ時間に目覚まし時計に朝を告げられ、いつもと同じように登校をする。

いつもと同じようにつまらない授業を受け、仲の良い友達と共に昼食をとる。

そして、いつもと同じように午後の授業を受け、部活をせずに帰路につく。

全てが平凡だった。

しかし、平凡は突然崩れ去る。

いつもの帰り道。彼女は人通りの少ない道を歩いていた。

桜は散り、青々とした葉が茂り始めている。数ヶ月前は、既に日が沈んでいる時間だったが、春の訪れと共に日は延び、今は夕陽が世界を真っ赤に染めている。

彼女はふと、空を眺めた。

しかし、その何気ない動作をした瞬間、彼女の平凡は音も無く崩れはじめる。

「何……あれ？」

彼女は思わず呟いた。

空から何か降ってくる。大きな翼を持っているが、明らかに鳥より大きい。

彼女は目をこらしてそれを見つめ、全てを理解した。

そして、それが落ちてくる場所に向かって彼女は走り出した。