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「……さて。ともあれ、ここに6人集まったわけだが」
「この6人で協力して生き残ろうって話だったよな!」
「ああ、その通りだ」
「……見ず知らずの相手と、かよ。正直、オレらは二人でも」
「アンタいざってとき頼りないからイヤよ」
「えっ……」
「……で、でも、初対面とか言ってる場合じゃ、ないような……」
「どうせ協力したほうが生き残れるというのなら、お互いを信用するしかないよねぇ。……しかし」
最後に発言したスーツが俺を見る。
ヘラヘラした表情を崩さないので逆に真意がつかみ辛い。
「しかし、無条件ではないだろう? まだ我々は、無条件の信頼を互いに持てるような関係にはない」
当然だった。
非常時であるが故、生き残るためならばある程度の警戒は捨てて協力体制を作ることができるかもしれない。
あくまで、『生き残るため』だ。
それが逆転して。
もし、協力することが『自らが生き残る』ことの障害となり得たとき。
闇雲な信頼関係もどきによってつながった協力体制は、一瞬でもろくも崩れ去るだろう。
「……今は、非常事態だ。だから、俺たちはそれぞれが生き残ることに全力をかけねばならない。
だが今は、非常事態だ。だから、個の力では乗り越え難い局面も出てくるだろう。
誰かがそうなったとき、無償で救いの手を貸し付け、その代わりに自分がそうなったときには無条件で救いの手を借りていく」
運命共同体としての、利害の共有。
全てはこの場を生き残るために。
一人であがくよりは、足並みをそろえる必要がある。
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