第二話 "集合"

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「盟を結ぼう。轡を並べて前を向く。前に進んで、生き残る。不可能ではないはずだ。  今回のことについて、俺たちにはひとつ、共通点がある。さし当たってはそれだ」 「……共通点、だと?」 「"影"、だね」 「アイツかっ!」 災害を巻き起こす"影"。 全ての元凶。 「俺たちは全員、その"影"と遭遇し、生き残っている。  この災害がアレによって起こされたもので、今回逃げ切らねばならない相手がアレなんだとしたら」 「"影"と遭遇したときの状況や得た情報を交換して、対策でも立てようってところかしら?」 そのときの情報を交換・共有する価値はあるのではないか。 それを言おうとしたところで、口悪女が口を挟んできた。 ……意外と頭が回るようだ。 「……ナニ意外そうな顔してんのよ。埋めるぞ」 「イヤ、すまん他意はない。そういうのはあっちのポジションだと思ってたから」 言いつつ、スーツ男のほうを見やる。 彼は相変わらず、ヘラヘラ笑いを顔に貼り付けたまま、黙ってこっちを見ていた。 「…………。  その通り、俺たちはそれぞれ、共通の敵に対して遭遇経験がある。  ならば、その情報を共有するのをきっかけに、それぞれが持てる情報と力を共有して、全員で生き残る共同体として協力していくのはどうだろうか」 改めて、告げる。 自分が生き残るために、全員で生き残る。 いわばおのおの、打算の関係。 打算と利害を通した、ソレらに対する、メンバーへの信頼関係。
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