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「あ、箸忘れた……」
部屋に着いた瞬間、箸を忘れたことに気付きリビングへ戻る。
箸を手にして部屋に戻ろうとした時――
どんがらがっしゃんっ!!
――物凄い騒音が二階から聞こえた。
な、なんだ今の音は……?
なにかが暴れているような。そんな音だった。
泥棒かもしれない……
俺はリビングに置いてあった木刀(姉貴が面白半分で飾っている)を手に、二階へと上がる。
緊張で心臓が忙しなく脈を打つ。自然と掌も汗ばんでいた。
自室の前で立ち止まり、生唾を飲む。
頭の中で相手を負かすイメージを作り、よしっと気持ちを引き締めた。
俺が単なるヘタレじゃないってところを見せてやる。
小さくタイミングを呟くと、一気に扉を開け放った。
「きぃえぇぇぇ!!」
大きく構えて奇声をあげてみたものの、部屋の中は暗かった。
しまった、視界を断たれた――
ついでに小便もしたくなってきた、だと……!
俺は膝をがくがく震わせつつも、壁にある部屋の電源を付ける。
そこで俺は呆然とした。
「なんだ、こりゃあ……」
部屋の中がフッ散らかっていた。
なにがって、もう全てが。
机は横倒しになっており、本棚も前方から倒れている。
雑誌は散乱し、クローゼットの中もごちゃごちゃ。
テレビのモニターにはひびが入り、オーディオも本棚の下敷きになっていた。
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