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「酷すぎる……」
いくら泥棒でもここまではやり過ぎだろう。
しかも、なんの金目の物もありゃしねぇとばかりに、八つ当たりしたような有様だ。
力無くベッドに腰を下ろす。ショックで片付ける気さえ起きない。
はっ――
その時、俺は大事なことを思い出した。
顔を青くさせ立ち上がると、すぐさまベッドの下を覗く。
……よかった。無事だったな。
ほっと胸を撫で下ろす。
エロ自販機で購入した俺のマイフェイバリットコレクションには、どうやら手を出さなかったみたいだ。
安否が確認できた途端、急に腹の虫が鳴り始める。
部屋は荒らされているが、物を盗まれた形跡はなく、とりあえず一安心。
念の為、二階にある他の部屋も確認してみたが、被害はないようだった。
姉貴は起きても来ず、おそらくは爆睡中。
本当にマイペースなお方だ。
苦笑しつつ部屋に戻ると、当初の目的を思い出す。
やべ、ラーメン伸びてっかも。
ラーメンは元置いていたテーブルから、何故かベッドの隅に移動していた。
泥棒が邪魔で避けたのかもしれない。
俺はラーメンを前に箸を構えた。
片付けや通報は後回しだ。今は腹を満たすのが先だろう。
礼儀正しく「いただきます」を済ませると、カップラの容器に手を伸ばした。
「きゃっ……!」
へ?
瞬間、女の子の悲鳴。聞こえてきたのは容器の下からだ。
思えば、ベッドに隠れてわからなかったが本来、カップラが置かれている場所にテーブルなんてものはなかった筈だ。
つまり、カップラは浮いているということになる。
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