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これが俗に言う、ポルターガイストってやつなのかもしれない。
ならば、今の女の子の悲鳴はなんなのか。
俺は再び訪れた恐怖に身を震わせながらも、カップラに近付いていく。
そしてカップラの下――ベッドの隅を覗き見て――
「ひいぃぃやあぁーー――っ!!」
絶叫。
俺は勢いよく飛び退いた。
くそっ、やっぱりいやがったよっ……!
それも女の子。女の子の泥棒。
マジ対応に困る。
で、一番驚くべきところは頭に姫ラーメンを乗せている件。
隠れてたつもりかよっ!
てか、乗せる意味がわかんないし。
何故か膝を抱えてしくしく泣いてるし。
――――て、え……?
泥棒が泣いている。
散々しておいて泣いている。
どう考えてもおかしい。
泣きたいのはこっちのほうです。
一向に襲い掛かってこない女の子に、拍子抜けする俺。
様子を見ようと再度近付くも、女の子は頭に姫ラーメンを乗せたまま、肩を震わせていた。
しばらく泣き止むことはなかった。
††††††
「落ち着いた……?」
女の子は湯飲みを両手で抱えたまま、小さく頷いた。
畏まったように縮こまり、行儀よく正座し俯いている。
すんすんと鼻を鳴らし、泣き止んでから十五分が経過していた。端から見たら俺が虐めているように見えるかもしれないが、だ・ん・じ・て・ち・が・う。
そして、被害者は俺だと言うことを忘れないでいてほしい。
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