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「あっ、あのですね……」
畜生……。
なんて言えばいいのかわからない。
意識し始めたら最後、俺はチキン野郎と化す。
クラスの女子を相手しているかのような…………いやいや、――なんてもんじゃない。
噴き出す汗が、俺の緊張を表しているだろう。
可愛い過ぎというのも困ったものだ。
こんなんだったら、肉塊のようなオタク男が侵入してくれたほうが、些かマシだったぜ。
「ダっ、だからですね…… 。なんでウチ……なのかなぁって……。ウチなんて、そんなオカネないですしネ……?
はっきりいって、ハズレっすよ……?……まじで」
片言の日本語しか出てこない自分に苛々する。
悪いのはこの子なのに、なに吃ってんだ俺。副家主として情けねぇ……
今度はこの状況に俺が泣き出しそうになっていると、女の子はようやく口を開いた。
「……あの」
「は、はいっ」
緊張する。
「お願いです……。お願いですから――」
警察には通報しないでくださいってか?
ま、誰だって捕まりたくないわな。
「――ラーメンの蓋を開けてください」
なんでそうなる!!!!
明らかに今の話の流れで持ってくるべき要所じゃないだろ、そこ。
うわぁ……もしかして、誤ってどこかに頭ぶつけたんじゃねぇの?
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