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「反省してくれればいいんです。今回は俺、見なかったことにしますから……。もう自分の人生を無駄にするようなこと、しちゃいこませんよ?」
最後ちと噛んじまったけど、良いこと言った。
なんかカッコイイな、今日の俺。人一人、改心させてしまったぜ。
「はい……?」
女の子は首を傾げている。
「……いや、だからもう泥棒なんてしちゃいけませんよってことです」
「はぁ……。泥棒…………。どなたがでしょうか?」
「いやいやっ、貴女ですよ……?」
「え?わたくし?」
「はい」
「…………。――――て、ええぇぇぇぇ――――――――――!!??」
突然つんざく声を上げ、驚愕な表情をする女の子。
いきなり立ち上がり、口をぱくぱくさせ「どっ、どっ」とか言ってる。
「どっ、泥棒って――わ、わたくしのことを言っていたのですかっ!?」
「貴女以外に誰がいるんすか?」
「あぁっ――」
興奮して人の顔に散々唾を飛ばした後、ふらり身体をよろめかす。
おでこを押さえて力無く膝から崩れ落ちた。
「だ、大丈夫っすか?」
「大丈夫なわけ……ないです……」
はぁはぁと息を荒げ、阿修羅のような顔つきで赤くなっている。
可愛らしい顔も台なしである。
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