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「も、もう一度聞きますが……泥棒とは、どなたに対してのことでしょうか?」
「勿論貴女以外にいないでしょう」
「……わたくしは違います」
「はい……?」
「わたくしは泥棒ではないと言っているのです」
おいおい……、部屋をこんだけしといて泥棒じゃないだって?
あんた正気かよ……
「今更そんなこと言われても……。だって俺の部屋を荒らしたのも、貴女でしょうが」
「これはっ――……。まぁ、わたくしも悪いところはありましたが、半分はご主人様のせいですよ?」
「ご主人様……?そいつはどこに行ったんですか?
――ま、まさか先にとんずらしたんじゃ……」
「とんずらなんかしてません。わたくしの目の前にいらっしゃいます」
「は?目の前って……」
「貴方様です」
「……はぁ?」
なにその設定。
――え、俺がご主人様?どうしてそうなるわけ?
俺がいつ泥棒なんかのご主人様になったのか。
もう訳がわからない。
さりげなく俺も半分悪いことにされてるのも遺憾だ。
ご主人様って裏設定も妙ちきりんだが。
「言っている意味が全く理解不能なんだけど……」
俺が引き攣った表情で女の子を見ていると、女の子はなにかに気付いたのか、急に姿勢を正す。
床に両手を綺麗につき、さながらご主人様に仕えるメイドのような姿勢になる。
意思の強い瞳で俺を見上げると、顔を引き締め、言葉を紡いだ。
「申し遅れました。わたくし、姫ラーメンシリーズ第一弾、麺姫降臨編のシークレット、麺姫と申します。以後、御見知りおきを」
………………ん?
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