240人が本棚に入れています
本棚に追加
現在、エロ自販機の存在は衰退の道を辿っている。
わからない奴に説明しておこう。
そもそもエロ自販機とはその名の通り、自販機でエロ本やエロビデオを気軽に購入できる、画期的な機械である。
大概田舎町の裏路地や物寂しい場所に鎮座しているが、都会でお目にかかることもあるらしい。
アダルトショップに入れないノミの心臓を抱える者、レンタルビデオ店のアダルトコーナーの暖簾(のれん)をくぐれない者。
多種多様のケースで、自分の欲望に一歩踏み出す勇気が持てない男子全ての味方――
エロ自販機である。
特に俺のような中高生にはとても心強い味方だ。
そんな愛くるしい奴なのだが、数年前から減少傾向にあり、最近ではほとんど見掛けなくなってきているという。
時代の流れというやつだ。
同時にハイテク化も進み、数年前から防犯監視カメラなる遠隔管理マシンや、運転免許証認証機能やら、最新武装を遂げるエロ自販機が増えてきたのだそうだ。
俺としては余り歓迎の出来ない現実だが、幸い俺の田舎町まではまだ手は伸びていない。
が、いつ起こるとも限らない問題でもある。
正直、毎日気が気じゃない。
だが、今はまだこの恩恵にあやかりたいと思う。
絶滅危惧種であることは間違いないのだ。未だこうして俺の田舎町にも存在する近況を喜ぶべきだろう。
『拠り所』があるだけ、幸せというものだ。
そして、俺は心底深い溜め息をついた。
「失敗した………………」
両手で抱えた物を、酷く打ちひしがれた心境で見下ろしていた。
最初のコメントを投稿しよう!