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学校帰り、一人で三十分も悩んだ挙げ句、夜のエロ自販機で三千円のカップラを購入する男子高校生。
な、哀れだろ?
本気で泣けてくるんですけど……
一月の冷たい風が走り抜け、思わず両肩を抱く。
おんぼろな街灯が照らし出す物悲しい一車線道路。
その人気のない歩道を自宅へと向かう。
夜空には星という装飾が、今日も俺を見下(みくだ)していた。
有り金殆ど注ぎ込んでこの始末。
世の男子高校生なら少なからず同情してくれる筈だ。
『しおり』にしておけばよかったと。
ちなみに俺の名前は磯貝 義経(いそがい よしつね)。
うちから徒歩十分の距離にある高校へ通う二年生だ。
特技もなければ決まった趣味もない。
おかしな性癖はあるものの、平々凡々な人間。
部活は帰宅部。体格はやや細身で、顔も五段階評価で二の、おかっぱ頭。
勉強はそこそこできるが、クラスでも虫けらのように目立たない存在だ。
そんな俺もあと約三ヶ月もすれば、三年生。
受験生となる。
もうすぐ受験生だというのに、うちの男子生徒間では未だ女子の話題が尽きない。
彼女が出来ただの、別れただの。デートに行っただの、合コンに行っただの。
ヤっただの、ヤってないだの。
俺には無縁の話なだけに、少々耳障りだ。
しかし、そんな周りに気圧されて変に焦って女子を意識する男共を見ていると、くだらないと思ってしまう……
……てのは嘘です。
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