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新しい皇帝ユリウス23世の子は双子で産まれた。
最初に産まれたのが兄のレオンで、一緒にセドリク・エリーザベト・ギーゼルヘル皇太子も産まれてきた。
二番目の子供セドリクは第三の性で産まれた為、宮廷医長であるフォーデルウ゛ァイデ侯は
どちらかの性別に決めるようにハインリヒに提案したのだった。
ハインリヒは思案の末、妻の父である天帝カリクトゥスの意向にそわない結果なのだが、
女の子とすることにしたが、
カリクトゥスの『皇太子として育てるように』といういいつけは向こう15年間守ることになった。
何故第二子が皇太子なのかは、エーデルラントの動乱期に第一子レオンがさらわれてしまったことが大きかった。
第一子レオンは後に帝国の一領邦ノルトラント王国の鉄拳大公が単独で救い出したものの、
彼は機転をきかせてノルトラントの古い修道院に赴き修道院長にこの子を預けた。
皇帝ユリウス23世、彼はハインリヒと呼んでいたが、
彼はハインリヒの異母妹エルウ゛ィラ(ルーヴィル大公妃)がその修道院を訪れることを知っていた。
彼は子供の産めない身体の大公妃にレオンを育てるようにもちかけた。
無論、その子の安全の為に事実は伏せられたのだが。
エルウ゛ィラは修道院が帝室の誘拐事件を忘れないようにとレオンハルトと名付けた。
エルウ゛ィラはよく異母兄のハインリヒのもとを訪ねたので、セドリクとレオンは兄弟のように育った。
二人は何をするのも一緒でセドリクが字を教えたら、レオンハルトは木の登り方を教えた。
帝国の情勢は非常に不安定だったが、ハインリヒは家族サービスに努め、セドリク・エリーザベトは何不自由ない幼少時代を過ごせた。
彼女が皇太子として育てられて数年がたつと、この国をよく統治したハインリヒは、妻テレーゼにこう告げた。
「養子を迎えたい。我が子に万一の時はその子を後継者として迎えるつもりだ。」
テレーゼは迷いながらも夫の決断を支えた。
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